『ちいさな宝物』の感想。

僕は、ほとんど写真という表現方法に造詣がないので、
まったくトンチンカンなことを言ってる可能性がありますが、
まあ思ったことを特に推敲することもなく、
勢いで書いてみたいと思います。


まず思うに、写真って不思議な媒体だね。
例えば音楽っていうのはさ、
やっぱその人の中身がそのまま音楽という形をとって出てくるわけで、
写真でいう被写体みたいな概念がないっつーか、
対峙するのは自分だけであって、
そういうのにしか慣れてないからさ、写真ってとても不思議なわけ。
音楽の場合、自分→作品って直結なんだけど、写真は違う。
被写体の「さくら」と撮影者「金森玲奈」に
ある程度の距離?みたいなものを感じます。
冷静に見てる、というか。
ストレートに吐露された感情の塊というのではなくて、
レンズを通して、観察して、ふとやって来た一瞬を切り取るという。
モノクロというのは、より一層そういう側面を増すと思う。
全体を通して感じるのは、さくらの自立的な力と、
あと、じっと押し黙った撮影者の息づかい。


静謐さ。
この写真集は、とても静かだと思う。
なんとなく、息を詰めて見てしまう。
穏やかさとか優しさとかは、その後じんわりやってくる。
なによりもまず、静かであるという印象を受けました。
最初死にそうな顔してたさくらが元気になっていく様子は、
ひょっとしたら、もっと活き活きと写す人もいるのかもしれないが、
それはそうではなく、とても静かなのでありました。
そういう所が、なんかいいよね。
孤高、違うな、よくわからない。
儚い強さです、その力は。
わからん、テキトーなこと言ってる。
どことなく寂しさが滲んでるんだよねぇ。
それは、壊れないとは保障されていない幸せ、とかの表れなんだろうか。
狙ってるんだろうか、なんでモノクロなんだろう。
これ、カラーだったらたぶんそういう印象って
もっとなくなるように思う。
いや、あるいは傘のやつとか、周りの風景だけカラーだったりしたら
どんなだろう、とか妄想しちゃった。


んで、一番最後のあとがきのところね、あれ、結構鮮烈。
おお、ついに登場ですねあなたって感じで。粋です。
この終わり方超いいと思ったよ。
影、というその控えめな愛情が。
熱烈でない、穏やかな視点が。


あ、あと、バットマンは微妙だったかも。
なんとなくね。いや、まあいいんだけど、
今言ってきたことと逆の要素がどかんと突然いる感じで。
しかも唐突なわりにちょろっとしか出てこないし。
ちょっと、それは思いました。


こんなとこかな。感想としては。
ちなみに個人的なお気に入りは、
靴にちょこんと手をのっけてるやつと、
葉っぱ見てるやつと、じっと前みてるやつ(右に空間がある方)
の3枚かなー。
いや、でもホント素晴らしいです。
こんな立派な作品を全国に出版できるなんて、すごい。
まったくもってすごい。偉い。
ちょっと羨ましい。頑張ってるのは。
すごい人になっても、街ですれ違ったとき無視しないでください。(^_^;)