僕には絶対音感がある。

一昔前、ちょっとしたブームになった絶対音感という言葉。
今ではもう、別に誰もそんなこと話題にしないけど、
とりあえず僕にはそれがある。
歌を聴いて、今何の音が出されてるのか聞いた瞬間に分かるし、
すぐにその音を真似して楽器で演奏することもできる。

しかし、当時出版された本とかでは、
絶対音感を持ってる人は、身の回りの全ての音がドレミで聞こえる」
という大誤解が、堂々と真実のように語られていたような気がする。
よく雨のふる音とか、鳥のさえずる声とか、
「これ何の音?ド?」とか友達に聞かれるが、そんなのは実はわからない。

大体考えてみてほしいのだが、音というのは連続的な現象であって、
ピアノの鍵盤みたいに等しく分割された「どれみふぁそらしど」だけで
成り立っているのではない。
鍵盤と鍵盤の間の微妙な高さの音だって、
当たり前のように自然界には存在する。
ドレミだけで表せるものではないのだ。

とはいえ、コップを叩いた音とかはちゃんとドレミに聞こえたりする。
でも、僕にはコップの音と雨の音の間に
どういう違いがあるのか、よくわからないや。