風の歌を聴け。

気が付けば僕はどんどん歳をとっていて、
好きだった人たちの年齢を追い越してゆく。
ページの中の人間は、何年経っても
その時間を超越した場所に存在していた。

そのとき僕は18歳で、大学のゼミでは
翻訳不可能性について勉強していたのだけれども、
教授の口から発せられる言葉は
ヤフーのそれのようにおぞましいほど退屈で、
実際、僕にとってスウィフトが何を風刺しようが
知った事ではなかったのだ。

それから僅か3年の間で、僕がどれだけの物を得て、
どれだけの物を失ってきたのか、
ノートに列挙してみようかと思ったりもしたが、
馬鹿馬鹿しいのでやめた。
とにかく、彼らは今、僕と同じフィールドに立ち、
同じ言葉を話し、何かを感じ考えている。
足元に半ダースの缶ビールを転がしながら。

僕はそうした一連の情景に、純粋な驚きを感じていた。
それが突然、現実感をもって目の前に現れたからだ。
しかし、潮の匂いに混じって頭をよぎったのは、
たった今僕が感じたことさえも、
全ては過去と名づけられた深い井戸の中で風化していく、
という紛れもない事実だった。

僕は歳をとり、彼らは歳をとらない。

・・・って、要するにね、
今日なんか久しぶりに『風の歌を聴け』を読み返して、
ちょっとびっくりしちゃったよってこと。
うげー、もう21かよ、同い年じゃーんって。
突然いつもの口調に戻ってしまいましたが(笑)。

明日は久々に授業に行く。
8時起床。頑張ります。起きれるか不安。